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「はーい、しゃんびゃくしゃんじゅうえんになりまぁしゅ」
しかし、財布を出そうとしたのだが、どうも見当たらない。
慌てた俺は、もしかしたらトイレに落としたのではないか、というかそれを願いながら、わなわなとトイレまで確認しに戻ったのだが、よかった、便器の横にちょこんと落ちていた茶色い長財布。間違いない、俺のものだ。
しかし、かがんで拾おうとした、その瞬間に、俺の目線は便器の裏に張り付いている真っ白な封筒で止まった。
なんだろう、セロハンテープ一枚で質素に貼りついていたため、ついついさっとはがしてしまったのだが。
何かいけないものを開けている様な感覚になった。が、好奇心に勝るものはない。もしかしたら、誰かがお金を入れて忘れて行ったのかもしれない、そうなれば木村さんに届けなければならないのだ。
しかし、そうっと開封して中から顔を出したもの、それは福沢諭吉などとは程遠い、二つ折りにされた満点の漢字テストの紙である。
「なんだこれ」
ぼそりと呟き、何の気なしに紙を裏返してみた。するとそこには、グラグラな線でかかれた、まるで少女が書いたような字で、こう書いてあったのだ。
「助けてください
菜々」
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