時の砂時計

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それでも、焦らなくてもいい。 これから麻友と過ごす時間は夢のように永くて理想的、そしてきっと信じられない事の連続だから…。 そう思うと、湧き上がる感情を抑えきれなくなりそうな俺だ。 何というか、大自然で叫びたくなるような、そんな気持ち。 それも仕方ないか…。 こっちに越してきて早4ヶ月。 都会の便利さに勝るものはないが、行く人去る時、全てが足早で、そして人の数が半端じゃないほど多すぎる。 何か、落ち着かない日を過ごしていたから、ゆっくり羽を伸ばしたい気はする。 そう、俺の地元は自然もあって、適度に交通も潤い、過ごすには好条件だと贔屓しがちだが思っている。 だが、麻友はこの都会で長いこと暮らしている。 そんな麻友には俺の都会疲れは比にもならないだろうが。 こうして隣で太陽を触るように手を伸ばしている麻友もきっと同じ気持ちなんだろう。 体いっぱいに浴びる太陽の光を、どうして同じ人間なのに気持ち良く浴びられるのだろうか。 「たまには、都心から外れた所もいいよね。」 と、タイミングを見計らって聞いてみる。 「そうですよね! 今日みたいな大自然に浸るのも、リフレッシュできて必要ですよね。」 と、歩き出して話した。 広い駐車場には割と車が多く並んでいる…それもそのはず、この炎天下の場合は大抵の人は日陰に車を停めたいと思うから。 木が並んで日陰ができるこの場所は、人気な場所である。
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