時の砂時計

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「ま………ゆ……? ま…ゆ…?」 傀儡人形にしても不出来な不自然な二足歩行。 ガクガクとこの体重を支えるには力足らずな両足に鞭を打ち、引きずり前に進む。 一歩、また一歩。 羽の折れた天使に近づく。 なぁ、起き上がってくれよ。 寝起きの時みたいに、眠い目をこすりながら起きてくれよ。 今なら全て許すからさ。 ドッキリって言ってくれてもいいよ。 起きて「将慶君」って呼んでよ。 ホラ、あとどれくらい近づけば種明かししてくれるの? そんな、轢き逃げするなんて、嘘でしょ? 何のテレビ局なの? ねぇ…。 ねぇ。 ねぇっ。 ねぇッ! もう着いちゃうよ。麻友のところ。 あと3歩。 ほら。 あと2歩。 早く。 あと1歩。 もう。 あと…………着いちゃったよ。
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