時の砂時計

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俺も走り出した。 想像以上、走りにくい浜辺を、麻友よりも少し大きい歩幅で跡を付けながら走った。 まるで青春ドラマの一ページを切り取ったかのような絵だ。 麻友に追いつくと、二人して笑った。 何がおかしいわけでもなく、息を切らしながら、足元は砂がまとわりつきながら笑った。 その声は天まで届くんじゃないのかって程。 そのあとは海に向かって走った。 その辺に靴を投げ捨てて。 お互い海水を掛け合って、周りに人がいないから、大声出しても気にすることなく。 カメラを持ってきていない自分を悔やむほどに麻友は美しくて青い海が似合った。 クリスマスの時は雪が似合ったと思えば、夏は海…なんでも似合う彼女をカメラ収めたかった。 人は二度と同じ表情をする事はない。 誰の言葉だったか忘れてしまったが、ごもっともだと思う。人は一秒ごとに成長を繰り返し、今に至る。 ましてや、この広い海を見て、今の気持ちで作られたこの表情は、まさにこの瞬間が生んだ奇跡だ。 俺たちが、こうして出会えてる事自体がまず、運命的な奇跡なんだけどね…。
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