時の砂時計

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疲れた俺らは、次は麻友の要望であった買い物に行った。 彼女の買い物に付き添う彼氏、こんなにありふれた幸せを、なかなか全うできないのがアイドルと付き合う彼氏の宿命である。 彼女の買い物が長くて…とか、愚痴を多々こぼす彼氏が現代世の中には溢れかえっているのだが、俺から言わせてみると、幸せボケしているのだろう。 会いたい時に会える、話したい時に話せる、そんな状況がどれほど素晴らしい事か、よくよくわかるのは俺たち二人だ。 そんな俺たちの関係に、よく愛想尽かさず彼女でいてくれる麻友に、せめてもの思いで上京したのも一理ある。 彼女と来たお店は、複数のお店が集まった複合施設だ。 少し早く始まる大学の夏休みと、麻友の仕事休みの重なった平日の今日は人は閑散としていて、好都合だ。 最初は手を繋ぐことにさえ、尋常じゃないほどの神経を使っていたのだが、最近では軽く手を繋ぐ事ができる。 が、今はできない。 それは俺の両手が塞がっているからだ。 「ごめんね?将慶君…荷物たくさんで…。」 「全然!気にしなくていいって!」 茶色い紙袋には、女物の洋服が顔を覗かせる。 麻友も一袋持っているのだが、最近俺の読んだ雑誌によるところ、こういった場面では男の方が荷物を持つのが常識らしい。
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