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「離婚したの?いつ?」
「半年くらい前かな。嫁さん出てったんだよね…」
耳元で響くハサミの規則的な音も、髪に触れる彼の大きな手も、いつもと変わらず心地よくて、私の心に暖かな陽だまりのように広がっていく。
「… 逃げられたってこと?」
こういう時は何て言っていいのか解らなくて、頭に浮かんだ言葉をそのまま口にしてしまった。
ハサミが止まる。
彼はそれをワゴンに置くと、後ろから手を伸ばして私の髪に触れ、胸の辺りで左右のバランスを確かめる。
そして鏡の中の私と視線を合わせて言った。
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