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「…桃花、
残念だけど俺は猛じゃない」
「…分かっているわ。そんなこと…」
言われなくても…
分かっている。
貴方は神谷猛じゃない。
そう、頭では…
「いや、わかってない。
桃花、最初から俺を見ていない」
「!」
「…だから…」
「………」
" 圭斗 "
って名前に彼が拘るのは猛先輩が関係している…?
理由は分からないけど、
神谷くんは猛先輩に何か拘りが…
そして私は
ようやく何となくだけど自覚した。
私が神谷圭斗に惹かれるのは、やっぱり…
…私が無意識に彼を、神谷圭斗を見ながら神谷猛の面影をずっと追い求めているから。
その理由は
その切れ長の綺麗な目が…
その吸い込まれそうな漆黒の瞳が…
私がずっと、好きで
思いが叶わなかったあの
私の師匠 " 神谷猛 " に
とても…
似ているから…
「…俺は
…神谷猛の変わりじゃない…」
神谷君は私の目を真直ぐ射抜くように見つめる。
猛先輩と同じ瞳で
私に訴えるように…
「…じゃあ…
…眼鏡…取っていい?」
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