決戦の朝

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「…あのね…」 「うん」 うわ…圭斗くん じっと見つめて来て、い、言いにくい…! ドッドッと心臓が早いリズムを刻む。 …今までなら、 言いかけたこと忘れたって言って、私たぶん逃げている。 でも今日は、 逃げないって散々覚悟してきた。 …加藤先生にもちゃんと気持ち伝えるって約束してきたし… 「…こ、こんなに 自分から動くの初めてなの…」 「うん…」 「彼女いるけど、伝えようと思ったの。それで諦めようと…」 「え…諦めるつもりだったの?」 「…うん」 傷つきたくない。 て、自分の気持ちをずっと庇って否定してきた。 猛先輩の事があって、 報われなかった恋が可哀そうで、 自分が可愛くて… 圭斗くんと向き合わずに逃げようとした。 それじゃ、ダメなんだ… 一人悲劇のヒロイン気取りで自分に酔ってるだけ。 前に進みたい。 猛先輩を吹っ切りたい… でも、圭斗くんを猛先輩の変わりにしたいとかそんなんじゃなくて… 私はただ… 「圭斗くんが…好き」
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