《6》

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  「ええ。平気よ。それではまた」 私はいつも通りのはずの笑顔を返して、その場を離れた。 途端に、顔が歪んでいくのを感じる。 すれ違う他人相手に取り繕う余裕なんてなかった。 本当は大丈夫でもなんでもないわ。 不快な思いが渦巻いてどす黒く溜まっていくみたい。 苦しい。どうにかなってしまいそう。吐き出したい思いだってある。 けれど、あの場で言ってどうなるの? 叔父があの男と友人だなんて計算外だわ。 +Dの名前を出していたらきっともっとおかしな事態になったに違いない。 話を後回しにしたことで機会を失ったけれど、話していたらどうなったのかしら。 叔父は、私の思うような制裁を、加えてくれたかしら? 絶対的に私の味方だと思っていた叔父と、佐川というオヤジとの接点が、私の願いを潰した。 ああ、すべてはあの男のせい。 私をツクリモノだとでもいうかのように罵った、あの邪魔な男さえいなければ。 すっかり夜も更けた街を一人歩きながら、私は次の手を考えようとした。 けれど、思い通りにいかなかった苦々しさを持て余しているからだろうか。 新たな手段は、見つかってはくれなかった。 .
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