《5》

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  『もしもし』 「もしもし、叔父さま?」 『久しぶりだね、京香』 「ご無沙汰しています。今お時間よろしいですか?」 『ああ。京香から電話なんて珍しいね。どうかしたかい?』 「実は……ちょっと叔父さまのお力をお借りしたくて……」 『私の? 兄さんでなくて?』 「はい。叔父さまにお願いしたいんです」 『そうか。仕事で何かあったのかい?』 「ええ……できればお会いしてお話ししたいのですけれど……」 『ああ、わかった。調整でき次第、また連絡を入れるよ』 「お願いします。なるべく早くだと嬉しいです」 『はは、わかってるよ。私も久々に京香の顔を見たいからね』 「ありがとう、叔父さま。私も楽しみにしていますわ。夜分にすみません、おやすみなさい」 『ああ、おやすみ』 穏やかで優しい叔父の声に少しだけ癒されながら、私は電話を切った。 すぐさま自宅へ帰ることも考えたけれど、まだ腹の虫は納まっていない。 このまま帰れば両親との食事に間に合ってしまうだろう。 そうなれば、はずみで両親に今回の件を察知されてしまうかもしれない。 仕事のことは叔父がいてくれさえすれば、何とでもなる。父の耳に入れるほどのことでもない。 それに、気遣い屋の母に心配をかけてしまうのも気が引けた。 どこか、時間を潰せる場所は……と考えた時に、一軒のバーを思い出した。 .
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