《6》

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  「何をおっしゃりたいか、わかりませんけれど……静かにしてくださらない? ワインがまずくなるわ」 そう言って、グラスを指ではじく。 チン……と高い音が響いた。おしまいの合図のつもりだ。 不愉快なの。もう口をつぐんでくださいな。 しかし彼はめげるどころかさらに続けて言った。 「嘘っぽい顔しかしてない君に、人間らしい美しさなんてあるのかな、と思ってね」 「っ、なんですって……!?」 カッとなった私はすぐに立ち上がり、佐川を睨みつけた。 私を見上げる男は、小馬鹿にしたように笑う。 「そんな仮面、剥いだらどうだ? 君はもっと感情的で口の聞き方も知らない子供だろう?」 「っ、侮辱するおつもりですか?」 言い返せば、彼は「はっ」とわざとらしく吐き出した。 「これが侮辱? 事実だろう。怒るってことは、図星だってわかっているんじゃないのか?」 「……っ、あなた、最低だわ……!」 不愉快どころの騒ぎじゃない。 趣味の悪いオヤジだわ。最低最悪の人間ね。 女を馬鹿にして楽しむなんて……! .
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