《6》

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  「帰るわ! あなたの顔なんて見たくもない!」 勢いよく椅子から立ち上がると、佐川はまったく気にもしていないかのように「ふうん」と言った。 「そうか、残念だな。御園が寂しがるだろうに」 「誰のせいだと思っているの!?」 「俺のせいだと言いたいのかな?」 「それ以外に何があると!? ふざけるのもいい加減にしなさいよ!」 私はいつの間にか、怒りに駆り立てられるように叫んでいた。 すぐ傍に、叔父が戻っていることにも気がつかずに。 「……どうしたんだ、京香」 「っ……!」 きっとこの瞬間、私の顔は蒼白になっていたことだろう。 叔父はというと、驚いたように目を見開いて私の様子を窺っている。 こんな場面を見られるなんて、はしたないと思われるに違いない。 最低最悪なオヤジのせいだとはいえ……立ち上がって声を荒げている私を、叔父は怪訝に思うに決まっている。 ああどうしよう、何か言わなくちゃ。 けれど、上手く微笑みを浮かべることさえ間に合わない。 もたもたしている私の元へ滑り込んできたのは、元凶の声だった。 .
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