《6》

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  「お帰り、御園。ちょっと仕事の話で白熱しちゃっただけだよ。なあ、お嬢さん?」 「……っ」 どうして。 どうして、そんな嘘がすらすらと吐けるの。 私の激高も何もかも、なかったように振る舞えるの。 私は取り繕うので精一杯だというのに。 男の言葉に「そうなのか?」と叔父は首を傾げて席に着いた。 「また佐川がおかしなことを言ったんじゃないのか?」 「何だ、酷い言われようだな」 「君は口が過ぎるところがあるからね。昔から誤解されやすいタイプだったろう?」 「どうだったかな。昔のことなんて覚えてないよ」 いつの間にか緊迫した空気は霧散していた。 彼らの親しげな空気のおかげというべきか、むしろそのせいだというべきか。 誤解でもなんでもなく、佐川という男は私を酷く侮辱したわ。 それなのに何、この場の空気はまるで、この男が握っているみたい。 叔父との仲は私の方が深いはずだわ。 これまで何度も親身になってくれた。 叔父は私の味方だと思える。その確信はある。 それなのにどうして? 私が何を訴えようと、彼らの関係はきっと、変わらないものなのだと感じてしまうのは。 .
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