第1話 

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けれど、先に目を見開いたのは男の方だった。 そしてすぐに目元をふんわり優しく細めた。 きっちり着こなしたタキシードからでも分かる、すらりとした身長。 甘く笑う口元や長い睫毛の瞳は、中性的で優しげな雰囲気を醸し出している。 何だろう……? このストイックなんだけど無駄に色気がある 感じ。 「綺麗になりましたね。――そら」 「は?」 「聖(ひじり)さーん! その花束、此方ですよ!!」 同じくタキシード姿のスタッフと思われる人が叫ぶ。 かなり急いでいるようで慌てて走ってきている。 「あー……。そら、もしかして、このまま家に戻る予定?」 ややおっとり喋る男に、少しだけ既視感が。 「そうだけど……」 「家に連絡してないですよね? 話したい事があるから、『Fiore』って喫茶店で待ってて下さい」 「は? 突然何? てか誰?」 私の事を知っているような雰囲気のこの男だが、どんどん勝手に話を進めないで欲しい。 腕を組み、下から上まで値踏みするように睨み付けてやる。 私は顔が良い男にはもう騙されないんだからね! すると、その男はフッと甘く笑って整った唇を動かした。 「お隣のおにいさんですよ」image=480604184.jpg
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