370人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「静也くん、今日は私どこに寝るの?」
「は?」
「家無くなってるし、柚は新婚だし、お兄さんは来ないし」
グラス空けんの、これで何回目だっけ?
目の前に出されたチーズやクラッカーがぼやけて見える。
「お兄さんの家で待ってようかな」
「!!!!!!」
静也くんはカウンターから飛び出すと、私の両肩を押さえてひきつった笑みを浮かべた。
「家はマズイ。ほら、ケーキ食べろよ。俺の家に泊めてやるし」
「――やぁよ。静也くんの家、汗臭そうだし」
「汗臭そ……!? 取り合えず、聖の家は駄目だ。止めとけ」
「――どうして?」
執拗に食い下がる静也くんの笑顔が怪しい。
何か隠してる?
「その、ペットが居るんだよ。聖にしかなつかないペットが」
「ペット?」
「そ。金髪のフサフサの、上等なペット。知らない人が来たら、警戒するんだよ」
あのボーッとしてて女の人に面倒見て貰ってるようなお兄さんが、ペットなんて飼えるわけ?
「とにかく! ホテルでも探して……」
そう勢いよく立ち上がって後悔した。
頭がぐるぐる、たぷたぷと回る。
ヤバイ、少し飲み過ぎたかも?
最初のコメントを投稿しよう!