第1話 

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「静也くん、今日は私どこに寝るの?」 「は?」 「家無くなってるし、柚は新婚だし、お兄さんは来ないし」 グラス空けんの、これで何回目だっけ? 目の前に出されたチーズやクラッカーがぼやけて見える。 「お兄さんの家で待ってようかな」 「!!!!!!」 静也くんはカウンターから飛び出すと、私の両肩を押さえてひきつった笑みを浮かべた。 「家はマズイ。ほら、ケーキ食べろよ。俺の家に泊めてやるし」 「――やぁよ。静也くんの家、汗臭そうだし」 「汗臭そ……!? 取り合えず、聖の家は駄目だ。止めとけ」 「――どうして?」 執拗に食い下がる静也くんの笑顔が怪しい。 何か隠してる? 「その、ペットが居るんだよ。聖にしかなつかないペットが」 「ペット?」 「そ。金髪のフサフサの、上等なペット。知らない人が来たら、警戒するんだよ」 あのボーッとしてて女の人に面倒見て貰ってるようなお兄さんが、ペットなんて飼えるわけ? 「とにかく! ホテルでも探して……」 そう勢いよく立ち上がって後悔した。 頭がぐるぐる、たぷたぷと回る。 ヤバイ、少し飲み過ぎたかも?
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