第1話 

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「うっ。……気持ち悪い」 限界だ……。 「だー! お前飲み過ぎだって。ほらボタン外して向こうのソファで横になれ!」 静也くんは面倒臭そうに水をグラスに注ぎながら言う。 その時だった。 カランカラン 「すいません! 遅くなりました!」 朦朧とする意識の中、見上げると、 タキシードを脱いだだけの式場で会ったまんまのお兄さんが居た。 「やぁーと来たか、聖」 「お兄さん……」 「はは。30にもなってお兄さんって呼ばれるのは嬉しいですね。あ、静也、僕にオレンジジュース」 「この状況で飲むな!」 ソファに沈みながらも、お兄さんを見る。 お兄さんは目をパチパチさせた後、首を傾げた。 「そらちゃん、お酒弱いの?」 ――言いたい事はそれだけか!? 呑気なお兄さんに腹が立つ。 こっちはずっとお兄さんが来るのを待ってたのに。 お水を持って来た静也くんをやんわり押し退けて、立ち上がった。 「ウチの親、どこ?」 「あー。僕の親とチーズ作りに北の国に」 「お兄さん、婚約者は?」 「破棄されちゃいまして、出戻りです。そらちゃんの荷物類は全部僕の家で、預かってますよ」 「は?」
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