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「家ごと、そらちゃんも欲しくなりました。こんなに綺麗になってるんですからー……」
「おい、聖! お前なぁ……」
静也くんがお兄さんを止めるのと同時に私も立ち上がった。
「――『そらちゃん』? 式場では、私の事、呼び捨てにしましたよね?」
ひっく、としゃっくりが出たので口を押さえながら、立ち上がる。
そして、よろよろしながらお兄さんの側へ歩み寄る。
「お兄さんの店や仕事や女関係はどうでも良いから! 私は今日、どこに泊まれば良いのよ!! 家、返してよ」
カウンターに座るお兄さんの胸ぐらを掴み、涎を飛ばすような大声で叫ぶ。
「うん。だから僕の家においで」
「1日だけじゃないのよ! 仕事止めさせられたから暫く実家に居ようと思ってたの!」
「あ、そうだったんだー」
ふむふむとお兄さんは頷くと、胸ぐらを掴む私の手を握り締めた。
「じゃ、やっぱ僕の家においでよ」
「は?」
「そらの荷物は全部僕が持ってますし、その部屋、暫く使って良いですよ」
「……」
考えるのも、なんか気持ち悪くなってきた。
「しかし、そらのご両親は凄いですね。散々放置してたのに、そらが帰って来るって予言は当てましたよー」
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