第1話 

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「家ごと、そらちゃんも欲しくなりました。こんなに綺麗になってるんですからー……」 「おい、聖! お前なぁ……」 静也くんがお兄さんを止めるのと同時に私も立ち上がった。 「――『そらちゃん』? 式場では、私の事、呼び捨てにしましたよね?」 ひっく、としゃっくりが出たので口を押さえながら、立ち上がる。 そして、よろよろしながらお兄さんの側へ歩み寄る。 「お兄さんの店や仕事や女関係はどうでも良いから! 私は今日、どこに泊まれば良いのよ!! 家、返してよ」 カウンターに座るお兄さんの胸ぐらを掴み、涎を飛ばすような大声で叫ぶ。 「うん。だから僕の家においで」 「1日だけじゃないのよ! 仕事止めさせられたから暫く実家に居ようと思ってたの!」 「あ、そうだったんだー」 ふむふむとお兄さんは頷くと、胸ぐらを掴む私の手を握り締めた。 「じゃ、やっぱ僕の家においでよ」 「は?」 「そらの荷物は全部僕が持ってますし、その部屋、暫く使って良いですよ」 「……」 考えるのも、なんか気持ち悪くなってきた。 「しかし、そらのご両親は凄いですね。散々放置してたのに、そらが帰って来るって予言は当てましたよー」
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