第1話 

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『あれ? まだ帰ってなかったの?』 ボーッと岩場で海を眺めていたら、岩を渡りながら響が私の方へやってきた。 『帰りたくないの』 どうせ親は寝てるだろうし、隣の家の明かりや話し声が聞こえたら、耐えられない。 『ふぅん。あのさ、今、スタッフと打ち上げでバーベキューしてんだけど、来ない?』 『こんな時期に!?』 寒い中、バーベキューとか、馬鹿じゃないの? そう思って響の顔を見上げた。 響は目を真ん丸にしたのち、ププッと笑いだした。 『なんだ、元気じゃん。撮影に使ったバーベキューの残りが大量にあんの。皆酔っぱらってるから来いよ』 薄い碧色の目が細く笑う。 差し出された手を取ると、指先はとても冷たかった。 『君、俺に興味無いだろ? 無いのに見に来てたな』 クスクス笑う響。 スラリとした身長は180はあるのかも。 細くて顔が小さいからもっと小さいかと思ってた。 『いえ。こんな田舎に撮影って珍しいし』 『ふぅん?』 そう言いながら、ホテルの庭先へ連れてこられた。 そのまま流される様に、酔っ払い達とバーベキューをした。 寒空の下で。
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