第1話 

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ゆらゆらと揺れる。 「参ったな……。そらには」 お兄さんが疲れた様に愚痴を溢した。 けれど、ゆらゆら揺れるのが気持ち良くて目が開けない。 「僕、シャワー浴びて来ますから。そらはベットで良い子にしてなさいね?」 甘い吐息の様に囁かれて、私は素直に頷く。 お兄さんは私の前髪をかきあげると微かに笑った気がした。 「本当に、僕と結婚しませんか? そら」 ふわり。 ふわふわのベットに移されて、体が沈んでいく。 寝てる時に言うなんて卑怯だ。 そんな言葉、今までいっぱい吐いてきたくせに。 あのオバサンにだってそう言って、 このベットで抱いたんでしょ? 気持ち悪い! 今すぐ飛び起きたい。 ――でも眠いの。 お兄さんのベットは、甘い甘い、花のような香りがする。薔薇みたいな高級じゃなくて、百合みたいな強い香りじゃなくて、甘く包み込むような、香り。 バタバタバタ 階段を登ってくる音がする。 お兄さん、シャワー終わるの早くないかしら? 布団に潜り込んでいると、ドアが開いた。 「悪い! 遅くなった。ごめんな、聖さん」
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