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ゆらゆらと揺れる。
「参ったな……。そらには」
お兄さんが疲れた様に愚痴を溢した。
けれど、ゆらゆら揺れるのが気持ち良くて目が開けない。
「僕、シャワー浴びて来ますから。そらはベットで良い子にしてなさいね?」
甘い吐息の様に囁かれて、私は素直に頷く。
お兄さんは私の前髪をかきあげると微かに笑った気がした。
「本当に、僕と結婚しませんか? そら」
ふわり。
ふわふわのベットに移されて、体が沈んでいく。
寝てる時に言うなんて卑怯だ。
そんな言葉、今までいっぱい吐いてきたくせに。
あのオバサンにだってそう言って、
このベットで抱いたんでしょ?
気持ち悪い! 今すぐ飛び起きたい。
――でも眠いの。
お兄さんのベットは、甘い甘い、花のような香りがする。薔薇みたいな高級じゃなくて、百合みたいな強い香りじゃなくて、甘く包み込むような、香り。
バタバタバタ
階段を登ってくる音がする。
お兄さん、シャワー終わるの早くないかしら?
布団に潜り込んでいると、ドアが開いた。
「悪い! 遅くなった。ごめんな、聖さん」
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