第1話 

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お兄さんじゃない人が家に上がってきた? 「先に寝ちゃったの? 聖さん」 声がベットに近づいてくる。 花の香りを打ち消すような、ミント系の香りがする。 「ねぇ、聖さん。悪かったよ」 モゾッ 布団をめくられそうになって慌てて引き戻した。 「ちょっ!! お兄さんならシャワーよ!!」 叫んだら、酔いが回ってグラグラした。 「――女?」 その男の声が険しくなったのが分かった。 みるみるうちに、気まずい雰囲気が流れる。 その男はベットに座り直したのか、右端のベットが沈む。 「また、女連れ込むとは思わなかった。でもあの人らしいな」 はぁぁと溜め息を吐くと、そいつは立ち上がる。 気持ち悪い。 吐くかも。 でも、 「勘違いしないでよ」 フラフラしながら立ち上がる。 「私はお兄さんの女じゃ……」 女じゃない……。 そう言うつもりで起き上がったのに、 私を見つめる碧色の目を私は、よく知っていた。 「そら……」 見開く目が、本当に驚いてるのが分かった。 「……響」 まさか、 まさかこんな形で再会するとは思わなかった。image=480604829.jpg
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