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「あーあ。良い結婚式だったね」
「そら、あんた棒読みすぎ」
空は快晴。
風は強い。
雲ひとつ無い青空の下、また教会の前で鐘が鳴る。
「てか私、此処で結婚式したいなぁって言ったんだよ? 真似されるとは思わなかったわ」
煙草を吸いながら私を見て笑う親友の柚(ゆず)。
そんな私は、朝6時に起きてから巻いた髪に、ばっちり化粧をして、隙1つ感じさせない雰囲気で佇んでいた。
――結婚式に男を漁りに来たと思われたら堪らないから。
勿論、二次会なんて行くわけない。
二次会の場所も、私がしたかった場所だ。
愛され系のふわふわおっとりの可愛い友達だったが、今日で疎遠にしてやる。
「柚は二次会行かなくて良かったの?」
未婚者一人一人に渡されたミニブーゲをベンチにわざと置き去りにしながら聞いてみる。
「結婚ラッシュで金ないんだよね。もう先々月から何回結婚式に出た事か」
そう言いながらも、柚の左手の薬指には上品なシルバーのリングが光っていた。
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