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お兄さんは首を傾げ、困ったように笑う。
「こんなに無防備になるなら、そらはお酒禁止ですね」
「普段はこうならないよ。色々あったからだし。それより、なんで此処に響が居るの?」
頭を押さえながら話すが、……なんかイヤな予感がした。
「あのさ、静也くんがお兄さんがペット飼っているって言ってたよ。金髪のフサフサな上等なヤツを!」
スルッ
シーツの上を肌がスルスルと擦る音がする。
それと同時に、優しく笑うお兄さん。
「静也には困りましたね。響はペットじゃありませんよ。もっと大切です。彼が居なければ僕は寂しい朝を迎えてしまいますし」
……寂しい朝?
「それより、そらは仕事首になったんですよね。
働いていた歯科医院の院長の不倫で」
「わ、私、そんな事も話したの!?」
肌とシーツの絹擦れと、花の香りと、窓から差し込む日差しがキラキラ輝く綺麗な空間なのに。
現実は些か残酷だ。
「はい。院長の奥さんが浮気防止の為に、若くて可愛い女の子を全部首にしたと、酔って静也に絡みながら話してました」
うわ……。話してたのか。
3階建てビルから1階建てに縮小するという理由と破格の退職金を貰ったけど、原因はバイトと院長が不倫したからなんだよね。
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