第1話 

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「女は26になると第一次結婚ラッシュが来るわけよ」 「乗り遅れた私が悪いわけよね」 しつこく出席の催促電話をされて、嫌な予感がしたんだよね。 行きたくなんて無かったのに、憧れの結婚式場だったし、最悪なタイミングで仕事場が潰れたから実家に戻るしかなかったけど。 ――本当に来なきゃ良かった。 海の上のチャペルが売りの、新しい結婚式場。 イタリア館、フランス館、ハワイ館、ドイツ館、日本館と、1会場毎に雰囲気も違うし地元では1、2を争う人気の式場。 オープンした時に親戚として参加したフランス館。 オーシャンビューの会場は、キラキラと輝き、シャンデリアが七色に変化する綺麗な式場で憧れていた。 ――でも今日の結婚式は最悪。 昔、何人かで集まった時にそのフランス館の話をしたんだけど、今日はその話まんまの式。 ドレスさえ、深紅のマーメイドにマリアベール。 何から何まで真似されて、私の憧れに泥が塗られた。 「そりやぁ、あんたは人目を引く容姿だし、仲間内じゃ一番早く結婚すると思われてたからね。 ほら、あんたモデルの響(きょう)とも付き合ってたじゃん」 「……思い出させないでよ」
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