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「ブーケはどの種類にします?」
お兄さんが資料を広げて、お客へ渡していた。
ローズティーの甘い香りが店内を漂っている。
店内はブラウンを基調にした、大人っぽい雰囲気で、壁にはブーケの写真が沢山飾られている。
赤い文字で店の名前が入ったブラウン色のエプロン。
ネクタイを緩めたり、ブラウスの裾を捲るお兄さんにはエプロンは似合っている。
ズルズル看板を引きずりながら店内を観察してみた。
花屋というより、フラワーアレンジメントやブーケのデザインがメインの様で、入り口付近に少ししか花は置かれていない。
今日は薔薇とダリアとフリージア。
そして棚に並べられた花がついたサボテン。
「いらっしゃいませ。じゃ、帰りは六時過ぎるから」
2階の螺旋階段から、サングラスにデニムと上着、そして旅行バックを斜めにかけて響が現れた。
「はい。響も気をつけていってらっしゃい」
お客も、響の登場に真っ赤な顔をして頭を下げていた。
営業スマイルの響が妙に腹正しい。
「うん。そらもエプロン似合ってんじゃん」
「……馴れ馴れしく話しかけないで」
軽々と看板を奪われてイラッとしてしまった。
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