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「ごめん」
「…………」
気まずい空気を作ってしまった。
早く行ってくんないかな?
「あんた、モデル辞めて何してんの?」
こんな田舎に響が居るって分かったら、皆騒ぐはずなのに。柚さえ知らなかった。
「高齢者の人の出張美容師。高齢者相手ならモデルってバレないから」
「……ふぅん」
なんであんな華やかな職業から、こんな人目を忍んで働いてんだろ。
「あ、そうそう。そらにはコレあげる」
看板を置いた後、ポケットからキーケースと一緒に名刺を取り出した。
渡された名刺を見ると、
『ハローワーク 職業相談第一部門 担当 梅木』と書かれた名刺。
ハローワーク……。
「響! あんたムカつく!」
「親切だろーが。聖さんに養って貰おうとか考えんなよ!」
そう悪態をついて、走って消えていった。
聖さん聖さん聖さん。
本当にムカつくんだけど。てか十万パクったのは忘れてるのかしら?
響が消えた道を睨み付けながら、不意に溜め息が溢れてしまった。
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