第1話 

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ハローワークか。 取り合えずは、失業保険の手続きに行かなければいけない。 向こうのマンションを引き払って、こっちに住民票移して……。 しばらくは失業保険があるからゆっくりしようと、 そう思ってたのに。 決めなければ。 お兄さんの家に世話になるか、あのマンションに戻るか。 お兄さん、いまいち何考えてるか分からないからね。 にこにこ笑って婚約だのふざけてるけど。 ドアを開け、2階に戻ろうと螺旋階段を登る。 (……鍵が閉まってる。) つくづく、響には殺意しか沸かない。 きびすを返して、下に目をやると、お客とお兄さんが手を取り、見つめあっていた。 「聖さん……」 「うん。眼鏡、外された方がお綺麗ですよ」 「まぁ……」 うっとりとお兄さんを見つめるお客。 初な少女のように顔を真っ赤にしている。 ……? ブーケ作ってるんだから、新婦のはずなのに。 ここ、何しに来てるんだか。 螺旋階段から、二人の空気を壊せず眺めていたら、次は電話がなった。
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