第1話 

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「そらちゃん、メモ帳取って。んでこのお皿と交換してくれる?」 「う、うん」 レジの横にあるメモ帳とペンを、お皿を受け取ってスライドさせた。 どうなってんだ……? 「よし。じゃあ俺は仕事に戻るから。このメモ帳とサンドイッチ、聖に渡しといて。レジの横のはお前の」 「――どういう事?」 静也くんは、眼鏡を外して、赤いフレームを肩の袖でごしごし拭いた。そして、あご髭を触りながら苦笑する。 「聖の婚約者は大変だぞ。あいつ、一人じゃ生きれないぐらい何もできない。服のボタンだって誰かに上手にねだってとめて貰おうとする」 「は?」 「聖は天然の女ったらしって事。まぁ花とブーケ教室代の方がホスト通うより安いからな」 「だから、何言って……」 「じゃあ次に来た時には完成させましょうね」 「はい。申し訳ないので今日予定してたダリアと薔薇全て買い取りますわ」 「え?」 「せっかく聖さんが選んで下さったんですもの」 「……素敵な花嫁さんに貰って頂けるなら嬉しいです。今包みますね」 うわぁ! うわぁ……。 お兄さん、魔性だわ。 お兄さんのあの笑顔を見るためだけに、あの花たちは売られてる気がする。 なんか……。 馬鹿らしくなってきた。
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