第1話 

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「お兄さん……。接客は無いにしろ、お酒飲んで大丈夫? お酒強いの?」 「え?」 「それ、缶ビールだよね?」 そう尋ねると、お兄さんは笑顔のままくるりと缶ビールのラベルに向き直った。 そして笑顔が崩れることなく、いきなり漫画のように顔が真っ赤になった。本当に一瞬で。 「あああああ」 バタン 「お兄さん!!!!」 これは……。 お兄さんもお酒、禁止じゃないの? 空き缶をゴミ箱の奥に隠すように捨てると、 斜め前の、静也くんのいる喫茶店へと向かった。 花の香りが、する。 花の香りに包まれる、時間。 お兄さんの寝顔を見ると、時間が狂うかのよう。 長い睫毛に、薄く開いた唇。 悩ましげに伏せられた瞼が艶かしい。 ――ため息を吐いた静也くんは、慣れた手つきで店の看板を中に入れ、『close』の看板をドアノブにかけ、 お兄さんをお姫さまだっこして2階に連れて上がった。 『こいつには、オレンジジュースか珈琲以外飲ませんな。酔うと面倒だから』 そう言って、ブラウスのボタンを全て外して、はだけさせた。
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