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「お兄さん……。接客は無いにしろ、お酒飲んで大丈夫? お酒強いの?」
「え?」
「それ、缶ビールだよね?」
そう尋ねると、お兄さんは笑顔のままくるりと缶ビールのラベルに向き直った。
そして笑顔が崩れることなく、いきなり漫画のように顔が真っ赤になった。本当に一瞬で。
「あああああ」
バタン
「お兄さん!!!!」
これは……。
お兄さんもお酒、禁止じゃないの?
空き缶をゴミ箱の奥に隠すように捨てると、
斜め前の、静也くんのいる喫茶店へと向かった。
花の香りが、する。
花の香りに包まれる、時間。
お兄さんの寝顔を見ると、時間が狂うかのよう。
長い睫毛に、薄く開いた唇。
悩ましげに伏せられた瞼が艶かしい。
――ため息を吐いた静也くんは、慣れた手つきで店の看板を中に入れ、『close』の看板をドアノブにかけ、
お兄さんをお姫さまだっこして2階に連れて上がった。
『こいつには、オレンジジュースか珈琲以外飲ませんな。酔うと面倒だから』
そう言って、ブラウスのボタンを全て外して、はだけさせた。
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