第1話 

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無防備に眠るお兄さんは、花を撒き散らして眠る白雪姫みたい。 無駄に色気がぷんぷん漂ってる。 ――起きたら、俺呼んで? そう言われ、静也くんと番号を交換した。 眠るお兄さんの横に椅子を運び、座りながら静也くんの番号を電話帳へ登録した。 カーテンが、風に揺れてたゆたう。 潮の香りと日差しが、白い壁に当たり、部屋中が明るく白くキラキラ輝く。 そしてお兄さんは花のように香る。 キングサイズはありそうな広いベットに、お兄さんは沈んでいた。 「……んん」 寝返りと共に、スルルとシーツが床に落ちた。 携帯をベットの端に放り出し、シーツを拾い上げる。 そして、はだけた胸を隠すようにそれを被せた。 「誰?」 「わっ」 ぎゅっ 突然被せた死角から、お兄さんの腕が伸びてきた。 「ちょっと! 起きた……の?」 ぐいっと引っ張られ、お兄さんの横に沈んでしまう。 慌てて起き上がり、お兄さんを睨もうとして息を飲んだ。 ――め、メチャクチャ顔が近い! 思わずときめいたのに、次の言葉で、心臓から急激に冷めてしまった。 甘い吐息のように、耳元で囁く。 「――香織さん、キスしよ?」 酔って頬染めて、誘うように首を傾げて。 ――私の名前、『かおり』じゃないんだけ
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