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「ありがとう。」
少し手を止めた横田くんにそう言われて、
顔が赤くなった自覚を持てるほど顔が熱かった。
「何で?だってこれ…みんなの仕事でしょう?」
割り当てられた仕事に
個人が礼を言う事ではないと…アタシは思う。
けど、生意気な奴…せっかく礼を言ってやったのに…と思われるかもって少し心配になる。
「 だって…もっと簡単なのにすれば…
ちゃっちゃっと終わったのに…」
前準備の無い当日組の班は早々に帰ってしまっているし、
同じ班の各務くんは塾が有るからって
全然手伝ってくれないし、
唯一の女子仲間の愛結ちゃんは、
彼氏と帰るからって、少しだけ…ホント少しの実績だけ残して
帰って行った。
森住くんとアタシと横田くんだけの教室は、
いつものざわついた騒がしさなんて全然無かったかのように
静かにそこに有って、
え?いつも静かだよね?違ったっけ?って言ってるみたいに
でんとしてて…
アタシ達を深く包み込んでくれる…
その優しい雰囲気のお蔭で
アタシは横田くんと一緒にいるのに、
静かに息を吸い込んだり吐き出したりすることが出来て
とても心地良かった。
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