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そんな横田くんとの接点はまるでなく、
ただ同じ空間で眠たい先生の声を子守唄のように聞く仲間程度。
他の女子からは、
『ゲイ』とまで言われるほど、
女子とは話もしない横田くんが、
アタシには硬派に見えて大好きだったし、
席替えのくじびきでは、
隣になりますように…なんてメガトン級の願い事は
そりゃー恐ろしくって、出来なくって、
『横田くんの四方八方すべてが男子で有りますように』と
控えめなお願い程度に収めていた。
だって、横田くんは女の子と話をするときに
少し困った顔をして、メガネを何度も何度もずり上げて
ものすごく緊張してるから…
緊張しすぎて、心臓が小動物みたいにドキドキしすぎたら、
長生きでいないじゃん…って
(アタシはその頃、心拍の数は決まってて、人間一定の拍数を刻んだら
死ぬって信じてた。だから無駄にドキドキしないように心がけていた)
横田くんの長生きを願ったりするもんだから
アタシの方がドキドキしちゃって…
絶対に早く死ぬな…って覚悟したほどだった。
そのくらい恋する乙女はアホすぎて、
ノートに赤い字で横田くんのフルネームを99回書いて、
最後の一回を本人に書いてもらったら両思いになれる…なんて
おまじないさえ、信じてやってみたい気にさえなるほど
(最後の一回を本人に書いてもらうってのが無謀過ぎて
実行に移したことは無い)
アホでアッパッパーだった。
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