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「 よ…よろしくね。」
「 あ…うん。」
コレが最初の会話。
3年目にしてようやくの会話がコレだ…
悲しくなって泣きそうにもなるが、
嬉しくってガタガタ震えだしたくなるほどだったりもする。
不思議だ。
女子同士のお隣さんはそりゃー仲良しさんってなくらい
ぴったりと机がくっついていたが、
男子同士の席は、隙間5センチっくらいで、
おっっ!結構良い距離?って感じ。
そしてアタシたちみたいにカップルさんの席は
(別に恋人同士とかじゃなくても
男子と女子がお隣さんになるとカップル席と呼んでいた。)
8センチ程度の隙間。
もちろん横田くんとアタシの席の間も…
8センチ程度の隙間が空いてて、
その8センチが、ぴったりくっ付いてるソレよりも、
5センチって言う仲良しさんよりも、
照れくさくって、胃の辺りを鳥の羽でくすぐられちゃったみたいに
こそばゆくって、
アタシはやけにドキドキした。
朝早く誰もいない教室で、
物差しで測ってみたら…8.7センチ…
その微妙なコンマ7が、やけにおかしくて、
笑い出したくなったけど、
横田くんは何にも気にしないで、
紺色のシャーペンをくるくると器用に回しながら
眠たい授業をまっすぐに聞いてる姿が
それはそれは、かっこよくって、
アタシは何度も
「牧野ー。戻ってこーい!」って
教科書の背中で、朗読中の先生に頭を小突かれた。
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