第1話

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「ソレ、聞いたことない。新しいヤツ?」 清香の手の中から抜けて、粗方水分の抜けた髪をかき上げる。やっと広がった視界。 「うん、この前ラジオで流れてたの。」 合間に返事して、また歌いだす。そして、俺が持ってきたタオルを肩に掛けて、 「シャワー行ってくるね。」 ベッドから飛び降りる。部屋から出る間際、 「亮吾も、一緒に入る?」 顔だけ覗かせて言う。 「今、出てきたばっかだっつうの。」 笑って、そして手で‘行って来い’って示した。また、ふふって笑って、今度はちゃんと浴室に向かう。 ガタンという音とともに、静かになる部屋。遠くで、水音が聞こえ始める。
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