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切ると、パタンという音を立てて、携帯を畳む。そのまま、それをベッドの上に放って、まだ抱きついたままの清香を抱き上げる。膝に向かい合わせに座らせる。肩口に埋まった清香の頭。シャンプーの匂いがする。俺と、同じ匂い。嬉しくなって、髪に鼻を埋める。
「真智さん、来るの?」
小さく呟く。俯いたまま、顔を見せてくれない。ぎゅっと、背中に回った腕に力が入った。
「うん。仕事終わったらね。」
俺は、努めて静かに言った。
「いつ?」
俺の腕の中で、やっと顔を覗かせた清香は、眉根を寄せて、少し寂しそうに言う。その表情が犬みたいで、眉間に口付けると、片目を閉じる。
「あと、1時間したら、終わるから、その後。」
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