3

20/34
前へ
/318ページ
次へ
     「今日は、ありがとう」 「役に立てた?」 「ああ」 「よかった」 わたしがタカヤに出来ることは、そう多くはないから。 そんな想いで、タカヤの指を握り返す。 すると、タカヤが可笑しそうにクスリと笑った。 あたしだけに見せる、その無防備な横顔が好きだった。 でもそれは、あたしの思い上がりでしかなかった。 タカヤは姉の大切な人だから……。 「タカヤと話をしていた髪の長い綺麗な女の人、あの人は、タカヤの恋人なんでしょう?」 「……どうして、そう思う?」 一瞬、タカヤが真顔になった気がした。 触れてはいけないことなんだ。 それは事実だから?
/318ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10514人が本棚に入れています
本棚に追加