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お店を出ると、タカヤがあたしの腰に腕を回して引き寄せた。
一人で歩けないほど酔っている訳じゃないのに……。
「タカヤ?」
「…………」
見上げると、タカヤは厳しい表情で黙り込んでいる。
お店にいたときはご機嫌だったのに、一体どうしてしまったの?
お酒で浮腫んでしまった足が痛い。
だけど、何も言えずに大通りまで一緒に歩いた。
「ナツ」
「なに?」
「話しておきたいことがあるんだ」
タカヤの声が低く響くと、胸に小さな漣(さざなみ)が立った。
あたしは、頷いてタカヤの次の言葉を待った。
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