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   「初めて逢ったときのこと、覚えてる?」 キスの合間に言葉を挟む。 「ああ。覚えてるよ」 タカヤの低いくぐもった声があたしの鼓膜を刺激して、また唇を塞がれる。 息が上がってしまいそうになるのを必死に堪えて 「どうして、あたしに声を掛けたの?」 また言葉を滑り込ませる。 タカヤは少し唇を離して 「どうしてかな?」とあたしを見詰めて、小さく笑った。 タカヤにどんな言葉を期待していたのだろう。 理由なんて無いのだ。ただ、あのとき、隣に座ったのが、あたしだっただけ……。 「ナツ、俺を見て」 「ああっ、」 声を上げてタカヤにしがみつく。 そして、すぐにあたしの中はタカヤで一杯になった。
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