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私の内心の困惑にも気づくことなくカインは話しかけてきた。
「? 君も魔法は使えるのだろう? 姓があるのだから貴族だろうし、ランク的にかなりのはずだ。 "観察"ではそう出てるんだが?」
どうやらさっき私を"観察"した時に観えたらしく、私も魔法を使えるはずと断言してきた。
「は?貴族?」
しかも、その言葉の中には聞きなれないものも入っていた。
(貴族って何?? あと、使えるわけないでしょ! 魔法なんて物語の中だけの物なのにぃ!! )
心の中でそうどなっていても目の前の人には聞こえるわけもなく。
「とりあえずここから離れよう。 王国に行くのだろう? 調査は又明日にすればいいし送っていこう。」
そう言ってカインは私の荷物を馬にくくりつけると私の手を取って馬へと連れていく。
(ち・・ちょっと待って!!馬って馬ってこんなに大きかったっけ!?)
近くに行くまで気がつかなかったが、どう考えても自分の知っている馬とは違い二回り以上は大きい。 持っていた荷物(トランク+味噌と糠床の桶二つ)を乗せても余裕なくらいだ。
(って、これってどうやって乗るの? しかも王国? 王国ってなに!)
「あの! これ乗るのって。 って、私王国に行っても行く所とか無いし!! それに貴族とか違うし!」
急いでカインに説明する。 知らない世界に来て知らない国へと連れて行かれる。 そもそも私にはこの世界で知っている人は一人もいないのだ。
カインに違う世界から来た事以外を話す。 遠い所から来たが行くあてがないことを。
「そうなのか? 姓があるからてっきり。 まぁ、それなら大丈夫だ。グランドホルン王国は福祉もきちんとしている。 騎士の詰め所で臨時の証明書を発行してもらえば住むところも働く場所も提供してくれる。 まぁそれがダメでも私の所にくればいい。 とにかく若い女性を放り出したりはしないから安心してくれ。」
途中の言葉に疑問を感じたが、証明書を発行してもらえて住むところも提供してもらえると聞き、王国へ向うことにする。
あ、馬に乗るのはカインに手伝ってもらいました。 でも、馬に乗るのに宙に浮くってどういうこと!?
怖くて思わずカインにしがみついてしまいました・・トホホ
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