異世界へようこそ

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グランドホルン王国 人口10万人の大きい国だ。 主な産業は商業。 以前は国民が数千しかいない小国だったこの国は、魔法の使えるこの世界で魔法の販売を最初に行った。 魔力を体に持つこちらの人はアイテム等に自分の使える魔法を付加させてから販売する。 その方法だと、もし魔力を持っていない子供が産まれてきたとしてもアイテム次第で魔法を使う事が出来るのだ。 実際、極稀に魔力のまったく持たない子供も産まれてくるらしい。 かなり以前は魔力を持たない子供が産まれてくると、密かに処分したり一生一つの部屋から出られないよう軟禁したりしていたようだったが、何代か前の国王はその事を憂い、魔力を持たない子供が産まれてきてもきちんと過ごせるように法を制定した。 そして魔力を持たない子供の為に魔法の販売を行ったのだ。 それにより魔力を持たない子供でも魔法が使えるようになった。 そしてこの行いは全世界へと知れ渡り、グランドホルン王国の名は一躍有名になり人口10万人規模の大国となった。 「グランドホルン王国の今の王はカルンスト・ルドベン・アズホルン。 先代の王は軍備に力を入れていたが、カルンスト王は福祉に力を入れている。 騎士の観察を受ければ誰でもこの国の民として登録できるし、他国へ移住も出来る。 そして住む場所も一定期間は無料貸出の場があるし、色々と住みやすい国だ。」 カインはグランドホルンの街並みを眺めながら自慢気にそう話した。 確かにこの国の人々は笑顔に満ち溢れていた。 今も大きな馬に揺られながら見る街の全ては活気に溢れていて、子供たちの笑う声や店の中から商品を呼び込む声などがあちらこちらから聞こえてくる。 そして少し遠くに見える広場では子供たちが魔法の練習をしているようで、手の平から水を出したり光を灯したりしているのが見えた。その中には元の世界では幼稚園の年少組にいるような年齢の子供もいた。 「凄いですね。 街は賑やかだし、あんな小さな子供も魔法を使ってる。」 私がどちらを向いているのか分かったカインは同じように子供たちを見て、 「グランドホルン王国では当たり前の光景だ。 小さい頃から魔法の練習に励み、そして将来へと紡いでゆく。 そして魔法が使えるか使えないかはあの位の年齢になるまでわからないからな。」 そう話すカインはとても悲しそうな瞳をしていた。
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