異世界へようこそ

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カインのその言葉に先程聞かされたグランドホルン王国の歴史の闇が頭に浮かんだ。 あの位の年齢になるまでわからないということは・・・。そう考えて悲しくなってくる。 待ち望んだ子供が魔力を持たないと知った時、あの位の可愛いさかりの子供が処分されていたのだ。 その決定を聞かされた親の気持ちを思うとこの世界に来たばかりの私でもこんな悲しい気持ちになってしまう。 「さて! あちらにあるのがまぁ役所みたいなものだ。 あそこでこの国の登録を行う事ができる。」 悲しい気分を払拭するかのように明るく話すカインの示した先には一際大きな建物があった。 白く塗られた壁にはカインの襟にある物と同じ紋章がある。 役所とカインは言ったがどうやら聞くと騎士団の詰め所のようだ。騎士の人が"観察"を行う為、騎士団の詰め所が役所的な役割を果たしているらしかった。 カイン曰く"役所"の前に到着すると、乗る時と同じように魔法を使って馬からおりた。 私も同じようにカインに馬からおろしてもらう。 馬から降りた後"役所"の出入り口だろう扉へ行くと、カインが扉に向かって手を翳す。 これは騎士がこの詰め所に帰ってきた時に必ず行う動作だとカインは言った。手を扉に翳す事により、扉がその騎士を認識する。 そして、今詰め所にいる人数を把握することが出来る。 ちなみに出ていく時は扉に手をかけただけでいいらしい。 ただし人数がわからなくなったら困るので、出て行く時は一人ずつが原則のようだ。 ただし民間人はそれには当てはまらないらしい。 "役所"はみんなの物なので出入りは自由とのこと。 扉に手を翳した後すぐ自動ドアのように扉が開いた。 私はカインに続いて"役所"へと入って行く。 騎士団の詰め所の中は、なるほど"役所"と言われるだけあって元の世界の役場と同じだった。 扉から入ってすぐに受付があり、どうやらそこが総合受付らしい。 今もおばあさんが紙を片手に何処へ行けばいいのか聞いている。 カインは総合受付を素通りし、いくつか並んだ窓口の一つへと近寄って行った。 その窓口の上を見ると国民登録や滞在許可など書いてあったので、どうやらここで私の登録をしてくれるようだ。
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