第9章

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下り車線に比べて順調に流れる高速を走りながら、作品の感想を一通り述べた。 ほぼ、褒め称えて熱くなっていた。 「ありがと」 まどかは苦笑していた。 彼女は抑えてはいるが、作品ができあがったことの高揚感がその内にあるのがわかった。 それがわかるのは、今は俺だけだと思った。 東京までの道程で最後になる石川PAに寄った。 「俺は売店をふらふらしてますから」 「うん」 まどかを見送ると俺はまず自販機で缶コーヒーを買って一息ついた。 目の前の少し高いところで雲がゆっくりと流れている。 お手洗いの方を見ると、ちょうどツアーバスが着いたのか、女性がかなり並んでいた。 「こりゃ時間が掛かるな」 俺はのんびりと売店を回ることにした。 一通り見終えて、まどかが来ないので、外に出てみた。 女性の列は続いているが、まどかはいなかった。 近くで待っていようかとお手洗いの方に行くと、左手の広場のとこでまどかが誰かに電話を架けようとしていた。
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