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「ねえ、コジロー、起きてよ」
彼女は握る手に力を入れた。
「ケガは大したことないんだって、だからさ、もう起きていいんだよ?」
園子は、黙ってそれを見ていた。
きっと彼女も既に同じことをしたのだろう。
その目は悟っていた。
「ねえ!コジロー!……起きてよ……」
まどかは、幸次郎の手を揺すったが、彼は何の反応も示さなかった。
彼女は握った手を包むように泣き崩れた。
園子も、主治医も、看護師も、それを見ているしかなかった……
が、
まどかはいきなり立ち上がった。
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