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下り車線に比べて順調に流れる高速を走りながら、作品の感想を一通り述べた。
ほぼ、褒め称えて熱くなっていた。
「ありがと」
まどかは苦笑していた。
彼女は抑えてはいるが、作品ができあがったことの高揚感がその内にあるのがわかった。
それがわかるのは、今は俺だけだと思った。
東京までの道程で最後になる石川PAに寄った。
「俺は売店をふらふらしてますから」
「うん」
まどかを見送ると俺はまず自販機で缶コーヒーを買って一息ついた。
目の前の少し高いところで雲がゆっくりと流れている。
お手洗いの方を見ると、ちょうどツアーバスが着いたのか、女性がかなり並んでいた。
「こりゃ時間が掛かるな」
俺はのんびりと売店を回ることにした。
一通り見終えて、まどかが来ないので、外に出てみた。
女性の列は続いているが、まどかはいなかった。
近くで待っていようかとお手洗いの方に行くと、左手の広場のとこでまどかが誰かに電話を架けようとしていた。
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