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「あ、園子?うん、私。………うん、そう。書き上がったよ。うん。………ありがとう。ほんと、園子のおかげだよ。………うん。あ、大丈夫だよ。もう今、東京に戻るとこだから。………うん。もうそんなにかからないよ。………コジロー?うん、もう伝えた。うん。今、外だって言ってた。………そうだね。あ、秋芳出版寄ってから帰るね。………うん、じゃあ、家で待ってて。………うん、後で」
まどかは電話を切ると、しばらく何かを考えているようだった。
彼女は、俺が迎えに来たことを園子さんに伏せた。
俺は彼女が振り向く前に売店の方に戻った。
そして、ケータイの電源をオフにした。
「コジロー、お待たせ~」
「結構並んでましたね」
「うん、女性の方はね」
「見ます?」
俺は売店の中を指差した。
「ううん、いいよ」
彼女は首を振った。
「じゃあ、行きますか」
「うん」
今度は首を縦に振った彼女だった。
「コジロー」
「はい?」
「このまままっすぐ秋芳出版に向かってくれる?データを渡しておきたいし、編集長にもちょっと挨拶をね」
「……はい、わかりました」
俺たちはまっすぐ表参道へ向かった。
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