877人が本棚に入れています
本棚に追加
まどかがお手洗いに立った時、隣りに座っていた園子さんが俺を見た。
「少しやつれましたね」
「あははは、まあ、正直徹夜続きだったので」
俺はカラカラと笑った。
「あまり無理をしないでくださいね」
園子さんは、本当に心配してる表情だった。
「あ、ありがとうございます」
俺はちょっとその表情に戸惑った。
少し間があいた後、
「久しぶりですね」
と、彼女は呟くように言った。
「そうですね」
俺は少しぎこちなかった。
隠し事があるというのは慣れていなかった。
「店頭に並ぶまでは、我慢します」
「え?何をです?」
彼女は少し微笑むような目で俺を見つめたが、答えなかった。
まどかがお手洗いから出てくる気配があったので、それで終わった。
その後もしばらく3人で軽くワイワイとして、お開きとなった。
園子さんとまどかはそのまま残り、俺は一人でマンションを後にしたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!