第9章

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彼女たちとあまり会わなくなって1ヶ月くらい経った頃の土曜日。 俺は書斎にいるというまどかと電話で話していた。 「……ということで、装丁のデザインも完成です」 『そ。お疲れさま』 「ありがとうございます。まどか先生は今日は何してたんです?」 『園子と松島屋のカフェでお茶しながら、次の作品の構想練ってた』 前なら「あんたに関係ないでしょ」とつっこまれていたはずだ。 「おお、それは楽しみですね」 『コジローのとこで出せればいいんだけどね』 「それは大丈夫ですよ。今回の作品で、うちが契約更新しないはずはないです」 『そう?』 「そうですよ」 『そっか』 「はい」 『装丁も一段落なら、明日は休めるんでしょ。ゆっくり休みなさいよ』 「……ありがとうございます」 『じゃあね』 まどかがあっさりしていた。 「あ、あの……」 切るのを躊躇ってしまった。 『なに?』 言ってしまった以上仕方ない。 「明日、どこか行きませんか?」 『え?ほんと?』 電話の向こうのまどかの声が弾んだ。 「ええ、たまには気晴らしでもどうです?」 『行く行く♪』 まどかは思った以上に乗り気だった。 そういうことで、どこに行くか相談したが、まどかは映画が観たいと言った。 そして、渋谷で待ち合わせることになった。 園子さんは実家に帰すらしい。 何て言って帰すのかわからないが、彼女にはその理由がわかるだろうなと思った。
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