877人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日の待ち合わせ場所はハチ公前だった。
俺は30分前だからと気を抜いていた。
ハチ公の銅像の方へ歩いていくと、
「コジロー!」
既に待っていたまどかに先に見つけられた。
「早いですね……」
「約束の30分前は当たり前でしょ?」
「いやいや、普通5分前ですから」
俺は手をぱたぱたと左右に振った。
「それにしても、すごい人混みですね……って、いやいや、何で日曜の昼間の待ち合わせがハチ公前なんですか?無謀ですよね?よく見つけられましたよね?」
「だって、やりたかったんだもん」
そう言って、彼女は俺の腕に抱きつくと、サングラスを少し下げて口を尖らせると俺を見上げた。
「まあ、いいですけど……」
「じゃあ、行こ♪」
そう言った彼女に俺は引っ張られて行った。
駅前のスクランブル交差点もすごい人の波だった。
こんな中なら遥まどかだとは誰も気が付かないだろう。
俺は抱きしめられた腕を気にしながらも、そう思った。
最初のコメントを投稿しよう!