第9章

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ほどなく上映が始まると、まどかもポップコーンを頬張りながらスクリーンに見入った。 前半でポップコーンが空になると、足元に置いた。 その辺でちょうど怖いシーンがあったので、まどかがきゃーっと叫びながら、俺の左腕にしがみついた。 後は、適当にきゃーって言いながらそのまましがみついていたのだった。 この前はホテルであんなことしたのに、いつもはこんなシチュエーションを用意しないと、俺にくっつけないのかと、普通なら思う。 最初はそれが計算だと思っていたが、ふと、そうじゃないのかも……とも思える様になった。 そう思うと、まどかがなんか可愛いと思えた。 彼女にとって、特に俺を騙す必要なんかない。 仮にあったとしても、そこに悪意は感じなかった。 今は素直に受けとめておこうと、俺の腕にしがみついている頭を見て思っていた。 「コジロー、面白かったねー」 映画館を出ると、まどかは満足そうな顔で言った。 「それは良かったです。じゃあ次は…お腹空いたから、何か食べに行きませんか?」 「うん!」 ポップコーンをほぼ一人で平らげて、実際にお腹が空いてるのかどうかわからないが、まどかはすごく乗り気だった。 「じゃあ、行きますか」 それにつられて、俺もすごく楽しかった。 手打ちパスタを食べて、スイーツを食べて、ゲーセンでまた暴れて、お買い物して、お茶して、お買い物して… 気が付けば、ダイナミックな夕焼けの下だった。 ビルの上の空間にその夕焼けが広がり、その下では街の灯りの中で人々がシルエットになりかけていた。
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