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「さて、今日の話題はなににしようか?」
会長のいつもの一言で我が古畑(こばた)高校生徒会執行部の活動が始まる。
と言ってもそんな仰々しい活動ではなくて普通のおしゃべりなんだけどね。
「おいおい……まさか週末はなにもしてませんでした、なんて面白味もないこと言わないよな?」
そして今、現在進行系で喋っているのが古畑高校生徒会会長、猿沢千早(さるさわ ちはや)先輩だ。
生徒会のメンバーからは『千早会長』やら『ちー会長』やら、色々な呼称で呼ばれている。
傷みのない艶やかな黒髪を揺らし、綺麗に整った顔に笑顔を浮かべながら千早会長は俺たち役員に話しかける。
「紫月(しづき)! お前は先週末なにをしていた!?」
「わたくしは自身の部屋で本を読んでおりましたが……」
今、会長に名指しされたのが副生徒会長の鹿鳴紫月(ろくめい しづき)先輩。
会長とほぼ同時期に生徒会役員に任命され、今日まで会長を隣で支えてきた人だ。
腰まであるシルバーブロンドの髪が彼女のトレードマーク。
さらにお父さんは有名な大企業の社長さんらしく、紫月先輩はお付きの人を従えて毎日登校してくる、言わばお嬢様だ。
「本……だと……? お前は本を読むために週末をまるまる費やしたとでも言うのか!?」
「その通りですが……なにか?」
「うむぅ……ならばお前が週末をまるまる費やして読んだ本はどんな話なんだ?」
「そのような言い方をされるとまるでわたくしが時間を無駄遣いしたようではありませんか……」
「あぁ……別にそんな意図はなかったんだ。すまない」
「別に構いませんが……。そうですね、俗に言う『ふぁんたじぃ』なるものを読んでみたのでございます」
「ファンタジー? 聞いたことはあるジャンルだが実際に読んだことはない気がする……どんな内容だった?」
「はい、わたくしもよくわからずに読み始めた『ふぁんたじぃ』でしたので上手く表せませんが……奇々怪々とした物語で……」
「ほう……それはなかなか興味深い……。ならば今日は『ファンタジー』について語ろうじゃないか!」
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