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彼の肩に凭れたまま、素晴らしい夜景を眺めれば、穏やかに今年最後の夜が更けていく。 膝の上に置いた手にそっと重ねられた彼の手。 互いの心を繋ぐように指を絡めて彼を見つめると。 どちらともなく近付いた唇が重なった。 「綺麗ですね。」 「……雫さんの方がずっと綺麗です。」 「……。」 「ベタですけど、本当にそう思ってますから、そんな顔しないで下さい。 ほら、このワンピースだって凄く似合ってます。脱がすのが惜しい位――――。」 「っ?!」 「……すみません。つい本音が。」 しまったという顔で口元を押さえた店長が、恐る恐るこちらを見るので思わず吹き出してしまった。 .
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