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「正直なのは、店長の良いところですから。……あっ!」
「どうかしましたか?」
「さっき、宮川さんの前で『店長』と言いかけて、慌てて『透さん』って言い直したんです。……いつまでも、『店長』じゃおかしいですよね?」
いつまでも彼女から『店長』なんて呼ばれるのは嫌だろうと思っていたのに、当の本人はあっさり否定する。
「僕のことを『透』と呼ぶ人は大勢いますが、『店長』と呼ぶのは雫さんだけです。
雫さんには『店長』と呼ばれる方が僕としてはしっくりきますから、そのままで良いんじゃないですか?」
「はぁ……。」
何だか納得がいかなくて首を捻っていると、彼はフッと笑った。
「呼び名なんて特に拘りませんから雫さんのお好きにどうぞ。
僕にとって大切なのは雫さんの愛情ですから。」
「は、はい……。」
愛情というストレートな言葉に顔が熱くなる。
彼は私の腰に手を回して抱き寄せると、首筋に顔を埋めた。
「僕の良いところだと言って下さったので、そろそろ正直になっていいですか?」
ピクリと震えた私の背中で、ファスナーの下りる音が響いた。
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