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「店長?」
膝立ちしたまま首を傾げると、軽く啄まれた唇に目を丸くする。
「な、何やってるんですかっ!仕事中ですよ!」
「すみません、我慢できませんでした。」
「……ひょっとして、わざと落としたんで――――。」
「そのちょっと怒った顔も素敵です。」
「……。」
徐々にエスカレートしつつある店長の甘ったるさに戸惑いながらも、嫌いじゃなかったり。
カウンターの内側で唇を尖らせてみても、赤くなった頬が本気で怒っていないことを容易く知らせてしまう。
「雫さん、今は誰も居ませんから。」
そう囁く甘い誘惑に目を閉じれば、キィと軋むドアの音。
「「いらっしゃいませ!」」
慌てて立ち上がった私達に、全てお見通しだと言わんばかりの風間さんの笑みが刺さる。
「…………お前ら、ちゃんと働け。」
2014.1.5
【風騒カウンター】完
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